ajims diary

2014-02-19 [水] 同じ境遇で、俺は何をするだろうか。

！！Gulliver！！

ピアニストＳさんの、

お見舞いに行ってきた。

Ｓさんとは、

かれこれ１０年以上前からのおつきあいで、

最近は、あまり共演機会がなかったが、

それでも数年おきには御一緒する機会があった。

Ｓさんは、俺の４つ年上。

いつもニコニコしておられる愉快な方で、

人生を楽観的に楽しむ術に長けた人だなぁ。

と感じてきた。

御一緒する機会があると、

いつも見習わなきゃな。と思ったもんだ。

共演すると、いつも目の当たりにするのが、

ジャンルに関しても、仕事の内容に関しても分け隔てなく、

いい演奏にしようと一生懸命に弾かれる姿だ。

見栄とか、地位、名誉には興味が無いといった様相で、

とにかく気持ちのいい人なんだ。

そして、酒、タバコ、美食、女性、

み～んな大好き。

でも節度があってスマートな感じ。

ん、

羨ましいくらいさ。

そんなＳさん、

この度、癌が発覚した。

しかも、かなり進行してしまっている状態なのだそうだ。

これは、さすがのＳさんも、

少々落ち込んだ様子なんじゃないだろうかと思いながら、

病室を訪ねた。

あら。

画像の説明

看護師さんナンパですか！

やっぱ、Ｓさんサイコーやな！

「やぁ！」

「ごめん、ちょっと待って！」

「今、担当の看護士さんにプレゼントで作った曲を弾いてるんですよ！」

と言いながら、

カタカタと鍵盤を叩く音だけが鳴っていた。

Ｓさんはイヤホン無しで無音の状態で弾いている。

毎日ピアノを弾いてきたプロの成せる技だな。

談話室に移動。

いろんな話をする。

部屋を見渡すと、各テープル上に、

折り紙や、新聞紙で作ったゴミ箱が置かれていた。

なんと、これは全部、

Ｓさんが作って置いているのだと言う。

画像の説明

Ｓさんは、入院してからずっと、

鍵盤の無い生活をしておられた。

さっき弾いていたキーボードは、

つい先日、手に入れたばっかりなんだそうだ。

しかし、入院当初から、

持て余す程の時間があり、

ずっと以前から、浮かんだメロディを書き留めて曲づくりをしたいと、

思っていたのを、実行に移そうと思った。

早速、見舞いに来てくれた友人に、

五線紙が欲しいと頼んだら、

筆記用具まで揃えてくれたんだそうだ。

そしてＳさんは、

楽器無しで、頭の中だけで作曲を始めた。

全２９曲。

曲解説と日々の想いも綴り、

一冊のノートにまとめた。

～入院中の思い出～

ピアノ無しでの作曲

３２小節の物語

全２９曲

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